なんでもない日々。

日々の思いや気づきなどを雑多に書きます。

美しい世界の音。

ニュースを見たら、能登半島がまた大変なことになってるみたいで…。なんでまたこんなことがと胸が痛む。少しでも状況が良くなりますようにと祈りながら。

遅くなってしまったけど、音楽の話。

つい先ほど(と言っても日付が変わる前だけど)聴いたもののことから。

かてぃんさんがラジオで坂本龍一さんのピアノ曲について解説されてた番組を聴きました。

坂本さんを敬愛しているかてぃんさんならではの、緻密な分析に基づく曲解説がとても興味深く、面白かった。かてぃんさんは坂本龍一さんのピアノ演奏について、"抑揚を排した、良い意味で無機質な演奏"というように形容されていて、なるほどなぁと思ったのだけど、たしかに聴いてると朴訥とした淡々とした音色が続いていく感じで、それが坂本さんの持つ、ある意味で唯一無二ともいえる特色の一つなんやろうなと。

坂本さんはうちの父とまさに同世代であり、亡くなったのも同じ頃で…。結構、父と重なるところもあるような、そんな感じのする人だったりする。これは以前、別のところにも書いたことのある気がすることなのだけど、坂本さんという人はこの世界の中で自分がどう生きるかということに対してストイックな美学を持つ人だったんじゃないのかなと感じている。抑揚や脚色を排した淡々とした演奏というのも、恐らくはそこに確固たる美意識があったからなんだろうなと。少なくとも、特に理由はないけどなんとなく、とかでは決して無いと思う。何か絶対に理由があるし、その答えが計り知れない思考の深淵にあるような、そんな感じも受ける。

思うに、楽器を演奏していて何らかの感情が音に反映されるのはごく普通のことというか、むしろそっちが自然なことな気がして。それが滲まないようにするというのは、ある意味、無意識を意識の力で統制しようとするような部分もあったんじゃないのかと思うのだけどどうなんやろうね。無意識って文字通り自分で意識できない部分だから本来はそんなことって絶対に無理なんだけど、それくらい、そこで鳴っている(鳴るであろう)音のすべてを深く理解した上で自分の志向する美しさに向かってまとめ上げようとする強い意志みたいなものを感じるというか。それはもちろんノイズや環境音なども含めて。

…て、全然何も知らない、わかってない人間が偉そうなことを書いてる気がすごくする今日この頃ですが( 流し読み推奨で笑)。とにかく、知らないなりにも、曲を聴いててそういう底の深い哲学や美意識を感じるということです。

今日聴いた番組の中で、坂本龍一さんの「Aqua」という曲の流れる場面があって、最後にもう一度、かてぃんさんの生演奏によるAquaが流れる場面があった。この、かてぃんさんのカバーしたAquaの演奏が本当に感動的で涙腺を刺激する演奏だった(泣いた…)。決して劇的というわけではないのだけれど、坂本さんへの思慕の情や魂を慰めるかのような優しさに溢れている演奏に感じて…。演奏を聴いていて、自分が何に感動するのかというのがすごくわかった気がしたし、かてぃんさんの持つ温かいものに触れた気もしてすごく癒された。とてもとても良かったです。

めっちゃラジオの話をたくさんしてしまったのだけども(勢い笑)。昨日はかてぃんさんの「Nocturne II - After Dawn」という曲のMVが出て、それも観ました。

ロッコの砂漠で撮影されたという映像が曲の世界観と合わさってとても美しかった。観た瞬間、星の王子さまが頭に浮かんだのだけど、SNSを見たら結構同じことを思った人がいたみたいだった。

砂漠の雄大な砂の流れにも、群青とも紺碧ともいえる空の青の中にも、瞬く星の光の中にさえも、自分が今にも吸い込まれて溶け込んでいきそうな感じがする。自然の中の一部に自分が還っていくような感覚が心の中に広がっていくようでもあり、とても気持ちがいい映像。

実は今、坂本龍一さんの『THREE』というアルバムをSpotifyで聴きながらこれを書いていて、とても素晴らしくてずっと感動しているんだけど、かてぃんさんの「Nocturne II - After Dawn」の感想を書くべく、一旦中断してかてぃんさんのYouTube(さっきリンク貼り付けたMV)をさっき観直してみたらやっぱりめちゃくちゃ優しさがあるなと感じた。本当に…これは生来の優しさともいうのか、何か万物への慈しみのようなものも感じるようでめっちゃいいなぁと。しみじみ…。

ラジオを聴いてから今に至るまで五感が目一杯に開かれるみたいな時間が続いている。心が開いて自由に泳いでいるみたいな気持ちのいい時間。かてぃんさん、そして坂本龍一さんにも感謝やなぁ。

ありがとうございます。

坂本龍一『THREE』

これは10年くらい前に高知の田舎で撮った空。このときも自分が光る雲の中に溶け込んでいくみたいに感じたなと思い出して。

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